奈良山の嶺なほ霧らふうべしこそ
籬が下の雪は消ずけれ
- 歌の意味
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奈良山の峰はまだ曇っている。なるほど、だからこそ垣根の下の雪は消えずにいたのだ。
- 鑑賞
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巻第十 冬雑歌 2316
詞書「雪を詠む」
奈良山の峰がまだ曇っているのを見て、だからこそ垣根の下の雪が消えずに残っていたのだと納得する歌で、題詞は「雪を詠む」である。遠くの山の曇りと身近な垣根の雪とを結びつけ、雪の消え残る理由に気づいた心の動きが表れている。本巻の第二千百六十一首の「うべも鳴きけり」と同じく「うべ」の語で、景物の理由に納得する心を詠んでいる。
初句「奈良山の」は奈良の都の北にある山のの意である。
二句「嶺なほ霧らふ」の「霧らふ」は曇る意で、峰はまだ曇っているの意である。ここで二句切れとなる。
三句「うべしこそ」の「うべ」はもっともなことに、「こそ」は強意の係助詞で、結句の「けれ」と係り結びをなす。
四句「籬が下の」の「籬」は竹や柴で作った垣根の意である。
結句「雪は消ずけれ」の「けれ」は「けり」の已然形で、三句の「こそ」の結びである。
まがき:竹や柴で目を粗く編んだ垣根
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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あしひきの山道も知らず白橿の 枝もとををに雪の降れれば
- 次の歌
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こと降らば袖さへ濡れて通るべく 降りなむ雪の空に消につつ