雪寒み咲きには咲かぬ梅の花
よしこのころはかくてもあるがね
- 歌の意味
-
雪が寒いので、咲くには咲かない梅の花よ、まあよい、このごろはこうしてつぼみのままでいるがよい。
- 鑑賞
-
巻第十 冬雑歌 2329
詞書は前の歌に続き「花を詠む」
雪の寒さに咲ききらない梅の花に、このごろはつぼみのままでいるがよいと語りかける歌で、花を詠む一連を締めくくる。咲けば散ってしまう梅を、寒さの中でつぼみのままに留めておきたいという思いが表れている。春雑歌の第千八百七十一首の、散るのが惜しいので咲かずにつぼみのままでいてほしいという歌と通じる心である。
初句「雪寒み」の「み」は原因を表し、雪が寒いのでの意である。
二句「咲きには咲かぬ」は咲くには咲かないの意で、咲ききらない様子を示す。
三句「梅の花」は呼びかけの対象である。ここで三句切れとなる。
四句「よしこのころは」の「よし」はままよ、まあよいの意である。
結句「かくてもあるがね」の「がね」は目的、願望を表し、こうしてあるがよいの意となる。
うめ:バラ科の落葉高木。早春に香りのよい花を咲かせる
- 出典
-
万葉集
- 前の歌
-
来て見べき人もあらなくに我家なる 梅の初花散りぬともよし
- 次の歌
-
妹がためほつ枝の梅を手折るとは 下枝の露に濡れにけるかも