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さ夜更けば出で来む月を高山の
嶺の白雲隠すらむかも

歌の意味
夜が更けたら出てくるであろう月を、高い山の峰の白雲が隠してしまうのだろうか。
鑑賞
巻第十 冬雑歌 2332

詞書「月を詠む」
 夜が更けたら出てくるはずの月を、高い山の峰の白雲が隠してしまうのではないかと案じる歌で、題詞は「月を詠む」であり、冬雑歌を締めくくる。月の出を待ちわびる心と、それを妨げる雲への不安が表れている。秋相聞の第二千二百九十九首の雲に隠れる月と同じく、雲に隠される月を詠んでいる。

 初句「さ夜更けば」の「さ」は接頭語、「ば」は仮定で、夜が更けたならばの意である。
 二句「出で来む月を」は出てくるであろう月をの意である。
 三句「高山の」は高い山のの意である。
 四句「嶺の白雲」は峰の白雲の意である。
 結句「隠すらむかも」の「らむ」は現在推量、「かも」は詠嘆を含む疑問である。

さよ:夜。「さ」は接頭語
出典
万葉集
前の歌
八田の野の浅茅色づく有乳山 嶺の沫雪寒く降るらし
次の歌
降る雪の空に消ぬべく恋ふれども 逢ふよしなしに月ぞ経にける