沫雪は千重に降りしけ恋ひしくの
日長き我れは見つつ偲はむ
- 歌の意味
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泡雪よ、幾重にも降り積もれ。恋しく思う日々の長い私は、それを見ながら恋人を偲ぼう。
- 鑑賞
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巻第十 冬相聞 2334
詞書は前の歌に続き「冬相聞」
泡雪に幾重にも降り積もるよう呼びかけ、恋しい日々の長い自分は、その雪を見ながら恋人を偲ぼうと詠んだ歌である。積もる雪に恋人を偲ぶよすがを求める心が表れている。前歌の消えゆく雪に対し、この歌は積もる雪を願っており、消える雪と積もる雪とが二首で対をなしている。冬雑歌の第二千三百二十一首が泡雪に降るなと願ったのとは反対の願いである。
作者の柿本人麻呂は飛鳥時代、持統朝から文武朝にかけて活躍した宮廷歌人である。この歌は左注によって「柿本人麻呂歌集」に出ると記される歌で、人麻呂自身の作か、人麻呂が書き留めた他人の歌かは定かでない。
初句「沫雪は」は泡雪はの意で、呼びかけの対象である。
二句「千重に降りしけ」の「千重」は幾重にも、「しけ」は「しく」の命令形で、幾重にも降り積もれの意である。ここで二句切れとなる。
三句「恋ひしくの」は恋しく思うことのの意である。
四句「日長き我れは」は日数の長い私はの意である。
結句「見つつ偲はむ」の「む」は意志で、見ながら偲ぼうの意である。
ふりしく:降り積もる。しきりに降る
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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降る雪の空に消ぬべく恋ふれども 逢ふよしなしに月ぞ経にける
- 次の歌
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咲き出照る梅の下枝に置く露の 消ぬべく妹に恋ふるこのころ