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吉隠の野木に降り覆ふ白雪の
いちしろくしも恋ひむ我れかも

歌の意味
吉隠の野の木に降り覆う白雪のように、はっきりと人目につくように恋をする私であろうか。
鑑賞
巻第十 冬相聞 2339

詞書は前の歌に続き「雪に寄す」
 吉隠の野の木を覆う白雪がはっきり目立つように、人目につくほど恋をする自分であろうかと自問する歌である。雪の白さの際立ちから「いちしろく」を導き、恋を人に知られまいとする忍ぶ心が表れている。秋相聞の第二千二百五十五首の「いちしろくしも我れ恋ひめやも」と同じ趣向で、秋の露に対して冬の雪を序としている。

 初句「吉隠の」は大和国の吉隠の地で、秋雑歌の第二千百九十首などにも見える地名である。
 二句「野木に降り覆ふ」は野の木に降り覆うの意で、字余りの句である。
 三句「白雪の」は白雪のようにの意で、上の句は「いちしろく」を導く序となっている。
 四句「いちしろくしも」の「いちしろし」ははっきりしている意、「し」「も」は強意である。
 結句「恋ひむ我れかも」の「かも」は疑問である。人目につく恋をしようかと自問して結ぶ。

よなばり:大和国の地名。今の奈良県桜井市のあたり
出典
万葉集
前の歌
霰降りいたく風吹き寒き夜や 旗野に今夜我が独り寝む
次の歌
一目見し人に恋ふらく天霧らし 降りくる雪の消ぬべく思ほゆ