天霧らひ降りくる雪の消なめども
君に逢はむとながらへわたる
- 歌の意味
-
空を曇らせて降ってくる雪のように消えてしまいそうだけれども、あなたに逢おうと、生きながらえている。
- 鑑賞
-
巻第十 冬相聞 2345
詞書は前の歌に続き「雪に寄す」
空を曇らせて降る雪のように消えてしまいそうだが、恋人に逢いたい一心で生きながらえていると詠んだ歌である。本巻の第二千三百四十首などが雪のように消え入りそうだと嘆いたのに対し、この歌は消え入りそうでも逢うために生き続けると決意しており、嘆きから意志への転換が見られる。
初句「天霧らひ」は空を一面に曇らせての意である。
二句「降りくる雪の」は降ってくる雪のようにの意である。
三句「消なめども」の「な」は強意、「め」は推量の「む」の已然形、「ども」は逆接で、消えてしまいそうだけれどもの意となる。
四句「君に逢はむと」はあなたに逢おうとの意である。
結句「ながらへわたる」は生きながらえ続けるの意である。逢いたい一心で生き続ける意志を示して結ぶ。
あまぎらふ:空が一面に曇る
ながらふ:生きながらえる。長く続く
- 出典
-
万葉集
- 前の歌
-
梅の花それとも見えず降る雪の いちしろけむな間使遣らば
- 次の歌
-
うかねらふ跡見山雪のいちしろく 恋ひば妹が名人知らむかも