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海人小舟泊瀬の山に降る雪の
日長く恋ひし君が音ぞする

歌の意味
泊瀬の山に降る雪のように、長い日々恋い慕ってきたあなたの足音がする。
鑑賞
巻第十 冬相聞 2347

詞書は前の歌に続き「雪に寄す」
 泊瀬の山に降る雪が日を重ねて積もるように、長い間恋い慕ってきた恋人の訪れる足音が聞こえると喜ぶ歌である。冬相聞の多くの歌が逢えない嘆きを詠む中で、この歌はようやく訪れた恋人への喜びを詠んでいる。「日長く」には「消長く」すなわち雪が長く消えない意も響くとされる。

 初句「海人小舟」は漁師の舟が港に「泊つ」ことから「泊瀬」にかかる枕詞である。
 二句「泊瀬の山に」は大和国泊瀬の山にの意である。
 三句「降る雪の」は降る雪のようにの意で、上の句は「日長く」を導く序となっている。
 四句「日長く恋ひし」の「し」は過去の「き」の連体形で、長い日々恋い慕ってきたの意となる。
 結句「君が音ぞする」の「ぞ」は強意の係助詞で、「する」の連体形と係り結びをなす。恋人の足音に喜ぶ心を示して結ぶ。

あまをぶね:漁師の小舟。「泊瀬」にかかる枕詞
出典
万葉集
前の歌
うかねらふ跡見山雪のいちしろく 恋ひば妹が名人知らむかも
次の歌
和射見の嶺行き過ぎて降る雪の いとひもなしと申せその子に