かくのみし恋ひやわたらむたまきはる
命も知らず年は経につつ
- 歌の意味
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このようにばかり恋い続けるのだろうか。命がいつまでかもわからないまま、年は過ぎていきながら。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2374
詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
いつまで続くかわからない命であるのに、年月ばかりが過ぎていき、自分はこうして恋い続けるばかりなのだろうか、と嘆く歌である。報われない恋が長く続くことへの不安と、限りある命への思いとが重ねられている。
詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」である。前歌が一日のうちの夕方という時刻の恋しさを詠んだのに対し、本歌は年月という長い時の流れの中で恋い続ける身を嘆いており、同じ恋の苦しさを別の時間の尺度で捉えている。
作者は未詳であり、左注によれば柿本人麻呂歌集に出る歌である。人麻呂歌集には人麻呂自身の作と、人麻呂が書き留めた他の人々の歌とが含まれるとされる。柿本人麻呂は持統朝から文武朝にかけて活躍した宮廷歌人で、三十六歌仙の一人である。
初句「かくのみし」は、このようにばかり、の意である。副助詞「のみ」に強意の助詞「し」が付き、恋するばかりの毎日であることを強調している。
二句「恋ひやわたらむ」は、恋い続けるのだろうか、の意である。「わたる」は動詞に付いて、ずっと…し続ける意を表す。係助詞「や」を受けて推量の助動詞「む」が連体形で結ぶ係り結びであり、ここで句切れとなる二句切れの歌である。
三句「たまきはる」は「命」にかかる枕詞である。語義には諸説があり、魂がきわまる意とする説などがある。
四句「命も知らず」は、命がいつまでかもわからず、の意である。限りある命の行方が知れないことを述べ、恋の行く末の不安と重ねている。
結句「年は経につつ」は、年は過ぎていきながら、の意である。「経に」は動詞「経」に完了の助動詞「ぬ」の連用形が付いた形で、「つつ」は継続を表す。余情を残して言いさしている。
わたる:動詞の連用形に付いて、ずっと…し続ける意を表す
たまきはる:「命」「内」などにかかる枕詞
- 作者
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柿本人麻呂歌集
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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いつはしも恋ひぬ時とはあらねども 夕かたまけて恋ひはすべなし
- 次の歌
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我れゆ後生まれむ人は我がごとく 恋する道にあひこすなゆめ