うち日さす宮道を人は満ち行けど
我が思ふ君はただひとりのみ
- 歌の意味
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宮へ通う道を人はいっぱいになって行くけれども、私が思うあなたはただ一人だけである。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2382
詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
宮へ通う道には大勢の人が行き交っているが、私が心を寄せるのはただ一人あなただけである、と詠んだ歌である。道にあふれる人々とただ一人の恋人とを対比させ、思いが一人に向けられていることを鮮やかに示している。
詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」である。都の賑わいを背景に、多数と一人という数の対比によって恋心の一途さを表した点に工夫がある。都の宮道という具体的な景から恋の思いへと転じる、明快な構成の恋の歌である。
作者は未詳であり、左注によれば柿本人麻呂歌集に出る歌である。人麻呂歌集には人麻呂自身の作と、人麻呂が書き留めた他の人々の歌とが含まれるとされる。柿本人麻呂は持統朝から文武朝にかけて活躍した宮廷歌人で、三十六歌仙の一人である。
初句「うち日さす」は「宮」にかかる枕詞である。日の光が照り輝く意とされ、宮の華やかさを感じさせる。
二句「宮道を人は」の「宮道」は宮殿へ通じる道をいう。係助詞「は」によって、道を行く多くの人々を取り立て、四句の「君は」と対比させている。
三句「満ち行けど」は、道いっぱいに満ちて行くけれども、の意である。逆接の接続助詞「ど」によって、下の句へと転じている。
四句「我が思ふ君は」は、私が思うあなたは、の意である。二句の「人は」と対比され、多くの人々の中からただ一人を取り出している。
結句「ただひとりのみ」は、ただ一人だけである、の意である。副助詞「のみ」で限定し、名詞で言い切る形で恋の一途さを強く示している。
うちひさす:「宮」「都」にかかる枕詞
みやぢ:宮殿へ通じる道
- 作者
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柿本人麻呂歌集
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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君が目を見まく欲りしてこの二夜 千年のごとも我は恋ふるかも
- 次の歌
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世の中は常かくのみと思へども はたた忘れずなほ恋ひにけり