白玉の間開けつつ貫ける緒も
くくり寄すれば後もあふものを
- 歌の意味
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白玉を、間をあけながら貫き通した緒も、くくり寄せれば、後には玉どうしが寄り合うものなのに。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2448
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
間をあけて緒に通した白玉も、緒をくくり寄せれば後には寄り合うものだと詠み、今は隔てられている二人も、やがては逢えるはずだという思いを玉の緒に託した恋の歌である。玉を貫く緒という身近な物の仕組みを、そのまま二人の仲のたとえとした巧みな比喩の一首である。
詞書の「物に寄せて思ひを陳ぶ」は、自然や身の回りの物にことよせて恋の思いを述べる歌を集めた部立である。本巻の第二千四百四十五首から白玉に寄せる歌が続き、本歌はその最後に置かれている。前歌までが白玉を恋人そのものにたとえたのに対し、本歌は玉と玉との隔たりと寄り合いに目を向け、離れた二人の再会を詠んでいる。
作者は未詳であり、左注によれば柿本人麻呂歌集に出る歌である。人麻呂歌集には人麻呂自身の作と、人麻呂が書き留めた他の人々の歌とが含まれるとされる。柿本人麻呂は持統朝から文武朝にかけて活躍した宮廷歌人で、三十六歌仙の一人である。
初句「白玉の」の白玉は、真珠など白く美しい玉をいう。万葉集では大切な恋人のたとえとされることが多く、ここでは玉と玉との関係を二人の仲に重ねている。
二句「間開けつつ」は、玉と玉との間をあけながら、の意である。「つつ」は動作の反復を表し、一つ一つ間を置いて玉を通すさまをいう。離れ離れになっている二人の状態を思わせる句である。
三句「貫ける緒も」の「貫ける」は、「貫く」に存続の助動詞「り」の連体形が付いた形で、貫き通してある、の意である。緒は玉を通すひもであり、「も」はそのような緒でさえ、と強める働きをしている。
四句「くくり寄すれば」は、緒をくくって玉を寄せると、の意である。已然形に「ば」が付いた確定条件で、そうすれば必ずこうなるという道理を示している。
結句「後もあふものを」の「あふ」は、玉どうしが寄り合う意に、男女が逢う意を重ねている。「ものを」は詠嘆を込めて言い終える形で、後には逢えるはずなのにという思いをにじませている。
を:玉を貫き通すひも、緒
ぬく:ひもなどを通す、貫く
あふ:玉どうしが寄り合う意と、男女が逢う意を重ねる
- 作者
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柿本人麻呂歌集
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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白玉を手に巻きしより忘れじと 思ひけらくは何か終らむ
- 次の歌
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香具山に雲居たなびきおほほしく 相見し子らを後恋ひむかも