妹に恋ひ寐ねぬ朝明にをし鳥の
こゆかく渡る妹が使か
- 歌の意味
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妹を恋しく思って眠れなかった夜明けに、おしどりがここを通ってこのように飛び渡っていく。妹の使いであろうか。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2491
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
妹を恋しく思って一夜眠れずに迎えた明け方、目の前を飛び渡っていくおしどりを見て、妹からの使いではないかと思いやった歌である。恋しさのあまり、通り過ぎる鳥にまで妹の心を感じ取ろうとする気持ちが表れている。
雌雄が離れずに連れ添うおしどりに寄せて、離れている妹への思いを述べている。前歌の鶴、次歌のにほ鳥とともに、鳥に寄せる歌の一連をなしている。
作者は未詳であり、左注によれば柿本人麻呂歌集に出る歌である。人麻呂歌集には人麻呂自身の作と、人麻呂が書き留めた他の人々の歌とが含まれるとされる。柿本人麻呂は持統朝から文武朝にかけて活躍した宮廷歌人で、三十六歌仙の一人である。
初句「妹に恋ひ」は、妹を恋しく思って、の意である。「妹に恋ふ」は、人を恋い慕う意を表す万葉集に多い言い方である。
二句「寐ねぬ朝明に」は、眠れなかった明け方に、の意である。「寐(い)」は眠ること、「ぬ」は打消の助動詞「ず」の連体形で、一夜を眠れずに過ごしたことを表している。
三句「をし鳥の」は、おしどりが、の意である。おしどりは雌雄が仲むつまじく連れ添う鳥であり、恋の歌にふさわしい鳥として選ばれている。
四句「こゆかく渡る」は、ここを通ってこのように飛び渡っていく、の意である。「こゆ」は、ここを通って、の意で、目の前の情景をそのまま述べている。
結句「妹が使か」は、妹の使いであろうか、の意である。「か」は疑問の助詞で、体言で言いさして推し量る形で結んでいる。
い:眠ること、睡眠
あさけ:夜明け、明け方
をしどり:雌雄が仲むつまじく連れ添う水鳥、おしどり
- 作者
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柿本人麻呂歌集
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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天雲に翼打ちつけて飛ぶ鶴の たづたづしかも君しまさねば
- 次の歌
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思ひにしあまりにしかばにほ鳥の なづさひ来しを人見けむかも