待つらむに至らば妹が嬉しみと
笑まむ姿を行きて早見む
- 歌の意味
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待っているであろうところに着いたならば、妻が嬉しいといって笑うであろう、その姿を、行って早く見たい。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2526
詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
自分の帰りを待っているであろう妻のもとに着いたなら、妻は嬉しいといってほほえむだろう、その姿を早く行って見たいと詠んだ男の歌である。再会の場面を思い描き、妻の笑顔を心待ちにする弾んだ気持ちが素直に表れている。
心の思いをそのまま述べる正述心緒の歌である。本巻の第二千五百十八首が、見送る妻の袖を濡らした涙を思い出す歌であったのに対し、本歌は再会した妻の笑みを思い描いており、別れの涙と再会の笑みとが対をなしている。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「待つらむに」は、待っているであろうところに、の意である。「らむ」は現在推量の助動詞で、遠くで待つ妻の様子を思いやっている。
二句「至らば妹が」は、着いたならば妻が、の意である。「至ら」は動詞「至る」の未然形で、助詞「ば」が付いて仮定の条件を表している。
三句「嬉しみと」は、嬉しいといって、の意である。形容詞「嬉し」の語幹に接尾語「み」が付いたミ語法に「と」が添い、妻の喜ぶ心を示している。
四句「笑まむ姿を」は、ほほえむであろう姿を、の意である。「笑ま」は動詞「笑む」の未然形で、助動詞「む」が推量を表し、思い描く妻の笑顔を示している。
結句「行きて早見む」は、行って早く見たい、の意である。助動詞「む」は意志を表し、再会を急ぐ心で結んでいる。
ゑむ:にっこり笑う、ほほえむ
いも:男性が妻や恋人を親しんで呼ぶ語
いたる:目的の所に行き着く
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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ねもころに片思ひすれかこのころの 我が心どの生けるともなき
- 次の歌
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誰れぞこの我が宿来呼ぶたらちねの 母に嘖はえ物思ふ我れを