面忘れいかなる人のするものぞ
我れはしかねつ継ぎてし思へば
- 歌の意味
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顔を忘れるなどということは、どのような人がするものなのか。私はそうすることができない。絶えず思い続けているので。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2533
詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
恋しい人の顔を忘れるなどということは、いったいどんな人ができるのか、自分にはとてもできないと述べた、恋の歌である。相手が自分を忘れてしまったのではないかという恨みを、疎遠になった相手に向けて言外に込めているとも読め、絶えず思い続ける心をまっすぐに述べている。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「面忘れ」は、人の顔を忘れること、の意である。
二句「いかなる人の」は、どのような人が、の意である。
三句「するものぞ」は、するものなのか、の意である。係助詞「ぞ」で強く問いかけ、ここで句切れとなる。
四句「我れはしかねつ」は、私はすることができない、の意である。「しかぬ」はしようとしてもできない意で、係助詞「は」が他の人と自分とを対比させている。
結句「継ぎてし思へば」は、絶えず思い続けているので、の意である。「継ぎて」は引き続いて、「し」は強意の助詞、「ば」は已然形に付く確定条件で、四句の理由を倒置して後から述べている。
おもわすれ:人の顔を忘れること
しかぬ:しようとしてもできない
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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おほならば誰が見むとかもぬばたまの 我が黒髪を靡けて居らむ
- 次の歌
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相思はぬ人のゆゑにかあらたまの 年の緒長く我が恋ひ居らむ