おほろかの心は思はじ我がゆゑに
人に言痛く言はれしものを
- 歌の意味
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いい加減な心では思うまい。私のために、人々からうるさく言い立てられたのだから。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2535
詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
自分のために相手が世間の人々からうるさく噂を立てられたのだから、決していい加減な気持ちで思うことはすまいと誓った、恋の歌である。噂という恋の障害を受け止め、それを負わせた相手への責任と誠意を、物にことよせずまっすぐに述べている。
初句の「おほろかの」は、本巻の第二千五百三十二首の初句「おほならば」と同じく、いい加減な心をいう語を打ち消して真心を示す趣向であり、近い位置で響き合っている。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「おほろかの」は、並一通りの、いい加減な、の意である。
二句「心は思はじ」は、心では思うまい、の意である。打消意志の助動詞「じ」で言い切り、ここで句切れとなる。以下は倒置的にその理由を述べる。
三句「我がゆゑに」は、私のために、私のせいで、の意である。
四句「人に言痛く」は、世間の人々からうるさく、の意である。「言痛し」は人の噂や言葉が多くてわずらわしいさまをいう。
結句「言はれしものを」は、言われたのだから、の意である。「し」は過去の助動詞「き」の連体形、「ものを」は理由を詠嘆的に示し、二句の誓いの根拠を述べている。
ゆゑ:理由、わけ。「…のゆゑに」で…のために、の意
ひと:ここでは世間の人々
- 出典
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万葉集
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相思はぬ人のゆゑにかあらたまの 年の緒長く我が恋ひ居らむ
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息の緒に妹をし思へば年月の 行くらむ別も思ほえぬかも