ひとり寝と薦朽ちめやも綾席
緒になるまでに君をし待たむ
- 歌の意味
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ひとりで寝るからといって薦が朽ちるだろうか、朽ちはしない。綾むしろがすり切れて緒になるまで、あなたを待とう。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2538
詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
ひとり寝をしても敷物の薦が朽ちることはない、だから美しい綾むしろがすり切れて糸ばかりになるまででも、あなたを待とうと誓った、女の恋の歌である。粗末な薦と上等な綾むしろとを並べ、敷物が擦り切れるほどの長い時を誇張して、待ち続ける心の強さを表している。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「ひとり寝と」は、ひとりで寝るからといって、の意である。「と」は、…とて、…からといって、の意を表す。
二句「薦朽ちめやも」は、薦が朽ちるだろうか、いや朽ちはしない、の意である。「めやも」は反語で、ここで句切れとなる。薦はマコモで編んだ粗末な敷物である。
三句「綾席」は、綾模様を織り出した上等の敷物である。二句の「薦」と対比されている。
四句「緒になるまでに」は、すり切れて緒ばかりになるまで、の意である。敷物が擦り切れて糸だけになるという誇張で、待つ時の長さを表している。
結句「君をし待たむ」は、あなたを待とう、の意である。「し」は強意の助詞、「む」は意志の助動詞で、固い決意を述べている。
こも:マコモで編んだむしろ
あやむしろ:綾模様を織り出した上等の敷物
を:糸、ひも
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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たらちねの母に知らえず我が持てる 心はよしゑ君がまにまに
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相見ては千年やいぬるいなをかも 我れやしか思ふ君待ちかてに