た廻り行箕の里に妹を置きて
心空にあり地は踏めども
- 歌の意味
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(た廻り)行箕の里に妻を残してきて、心は上の空である。足は地を踏んでいるけれども。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2541
詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
行箕の里に妻を残して別れてきたため、足は地を踏んで歩いていても心は上の空だと歌った、男の恋の歌である。「空」と「地」とを対比させ、体は進んでいても心は妻のもとに残ったままの放心の状態を、わかりやすく言い表している。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「た廻り」は、行きつ戻りつする意の「たもとほる」で、「た」は接頭語である。行く意から地名「行箕」の「行き」を導いている。
二句「行箕の里に」は、行箕の里に、の意である。行箕は地名であるが、所在は未詳である。
三句「妹を置きて」は、妻を残しておいて、の意である。六音の字余りである。
四句「心空にあり」は、心は上の空である、の意である。ここで句切れとなる。
結句「地は踏めども」は、足は地を踏んでいるけれども、の意である。逆接の「ども」で結び、倒置によって四句の「空」と結句の「地」とを対比させている。
たもとほる:行きつ戻りつする、ぐるぐる回る
ゆきみのさと:地名。所在は未詳
- 出典
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万葉集
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振分けの髪を短み青草を 髪にたくらむ妹をしぞ思ふ
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若草の新手枕をまきそめて 夜をや隔てむ憎くあらなくに