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うつつには逢ふよしもなし夢にだに
間なく見え君恋ひに死ぬべし

歌の意味
現実には逢う手立てもない。せめて夢にだけでも絶え間なく見えてほしい、あなた。私は恋のために死んでしまいそうだ。
鑑賞
巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2544

詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
 現実には逢う手段もないので、せめて夢の中だけでも絶えず姿を見せてほしい、このままでは恋のために死んでしまうと訴えた、恋の歌である。うつつと夢とを対比させ、夢に頼るしかない恋の切なさを、呼びかけの形で率直に述べている。
 作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。

 初句「うつつには」は、現実には、の意である。係助詞「は」が三句の「夢」と対比させている。
 二句「逢ふよしもなし」は、逢う手立てもない、の意である。「よし」は手段、方法で、ここで句切れとなる。
 三句「夢にだに」は、せめて夢にだけでも、の意である。「だに」は最小限の望みを示す副助詞である。
 四句「間なく見え君」は、絶え間なく見えてほしい、あなた、の意である。「見え」は「見ゆ」の命令形の古い形で、続く「君」は相手への呼びかけである。
 結句「恋ひに死ぬべし」は、恋のために死んでしまいそうだ、の意である。「べし」は推量の助動詞で、恋の苦しさの極みを訴えている。

うつつ:現実、目覚めている状態
よし:手段、方法
いめ:夢
出典
万葉集
前の歌
我が恋ふることも語らひ慰めむ 君が使を待ちやかねてむ
次の歌
誰ぞかれと問はば答へむすべをなみ 君が使を帰しやりつも