思はぬに至らば妹が嬉しみと
笑まむ眉引き思ほゆるかも
- 歌の意味
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思いがけない時に訪ねて行ったら、妻がうれしいと言ってほほえむであろう、その眉の様子が思い浮かぶことだ。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2546
詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
思いがけず訪ねて行ったなら、妻がうれしがってほほえむであろう、その眉の様子が目に浮かぶと歌った、男の恋の歌である。不意の訪れに喜ぶ妻の表情を眉に焦点を当てて思い描き、早く逢いたいと願う心を明るく述べている。
本巻の第二千五百二十六首は「待つらむに至らば妹が嬉しみと笑まむ姿を行きて早見む」とあり、二句から四句の初めまでを本歌と共有している。待っている妻のもとへ行く歌と、思いがけず訪ねる歌とで、妻の笑顔を思い描く趣向が対をなしている。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「思はぬに」は、思いがけない時に、の意で、妻が予期していないときに訪れることをいう。本巻の第二千五百二十六首の初句「待つらむに」と対照をなしている。
二句「至らば妹が」は、訪ねて行ったら妻が、の意である。未然形に付く「ば」は仮定条件を表す。
三句「嬉しみと」は、うれしいと思って、の意である。形容詞の語幹に「み」が付いた形で、喜ぶ心を表している。
四句「笑まむ眉引き」は、ほほえむであろう眉の様子、の意である。「む」は推量の助動詞の連体形で、「眉引き」は眉墨で引いた眉をいう。
結句「思ほゆるかも」は、思い浮かぶことだ、の意である。「思ほゆ」は自然に思われる意で、詠嘆の「かも」が付いている。
ゑむ:ほほえむ
まよびき:眉墨で引いた眉
おもほゆ:自然に思われる、思い浮かぶ
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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誰ぞかれと問はば答へむすべをなみ 君が使を帰しやりつも
- 次の歌
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かくばかり恋ひむものぞと思はねば 妹が手本をまかぬ夜もありき