かくだにも我れは恋ひなむ玉梓の
君が使を待ちやかねてむ
- 歌の意味
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これほどまでに私は恋い続けることだろう。あなたの使いを待ちきれずにいることになるのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2548
詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
あなたからの使いを待ちきれず、これほどに恋い続けることになるのだろうかと、便りを待つ身のつらさを詠んだ歌である。恋人の訪れだけでなく、その消息を伝える使いさえ来ないもどかしさを、自分に問いかける形で表している。
四句と結句の「君が使を待ちやかねてむ」は、本巻の第二千五百四十三首の下の句とまったく同じであり、第二千五百四十五首にも「君が使を」とある。使いを待つ恋の歌が近い位置に集められているのである。また前歌の「かくばかり」と同じく、恋の程度を示す言葉で歌い起こしている点でも前歌と対応しているのである。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「かくだにも」は、これほどにも、の意である。副助詞「だに」と係助詞「も」で、恋の激しさを強く示している。
二句「我れは恋ひなむ」は、私は恋い続けることだろう、の意である。「なむ」は強意の助動詞「ぬ」の未然形に推量の助動詞「む」が付いた形で、二句で切れる二句切れの歌である。
三句「玉梓の」は「使」にかかる枕詞である。古く使者が梓の杖を持って便りを運んだことによるとされ、ここでは恋人からの使いを導いている。
四句「君が使を」は、あなたが寄こす使いを、の意で、恋人の消息を伝える者を指している。
結句「待ちやかねてむ」は、待ちきれずにいることになるのだろうか、の意である。係助詞「や」が疑問を表し、結びは助動詞「む」の連体形となる係り結びである。「かぬ」は、しきれない、の意を添えている。
たまづさ:使いや便りの意。「玉梓の」の形で「使」にかかる枕詞となる
かぬ:動詞の連用形に付いて、しようとしてもできない意を表す
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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かくばかり恋ひむものぞと思はねば 妹が手本をまかぬ夜もありき
- 次の歌
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妹に恋ひ我が泣く涙敷栲の 木枕通り袖さへ濡れぬ