- 歌の意味
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立っていても思い、座っていても思うことだ。紅色の赤い裳の裾を引いて去っていったあの姿を。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2550
詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
紅の赤裳の裾を引いて去っていった恋人の姿を、立っても座っても思い続けていると詠んだ歌である。別れ際に見た鮮やかな赤裳の色が目に焼きついて離れない男の心を、色彩豊かに描いている。
上の句で思い続ける自分を述べ、下の句で思いの対象である女の後ろ姿を倒置によって示す構成である。赤裳は万葉集で若い女性の美しさを象徴する装いとしてしばしば詠まれており、本歌でも去りゆく女の姿を際立たせる役割を果たしているのである。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「立ちて思ひ」は、立っていても思い、の意で、二句の「居ても」と対になり、どんなときにも思い続けることを表している。初句は六音の字余りである。
二句「居てもぞ思ふ」は、座っていても思う、の意である。係助詞「ぞ」を受けて結びは連体形「思ふ」となる係り結びで、ここで一度切れる二句切れである。
三句「紅の」は、紅花で染めた色の意で、次の「赤裳」の色の鮮やかさを示している。
四句「赤裳裾引き」は、赤い裳の裾を引いて、の意である。裳は女性が腰から下にまとう衣で、裾を長く引く優美な姿を描いている。
結句「去にし姿を」は、去っていった姿を、の意である。二句の「思ふ」の目的語であり、倒置によって恋人の後ろ姿を余韻として残している。
も:女性が腰から下にまとった衣
いぬ:去っていく、立ち去る
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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妹に恋ひ我が泣く涙敷栲の 木枕通り袖さへ濡れぬ
- 次の歌
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思ひにしあまりにしかばすべをなみ 出でてぞ行きしその門を見に