相見ては面隠さゆるものからに
継ぎて見まくの欲しき君かも
- 歌の意味
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顔を合わせると恥ずかしくて思わず顔を隠してしまうのに、それでもずっと続けて見ていたいあなたであることよ。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2554
詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
逢えば恥ずかしさのあまり思わず顔を隠してしまうのに、それでもいつまでも見ていたいあなただと詠んだ歌である。女性の立場から、恥じらいと慕わしさの入り混じった初々しい恋心を素直に表している。
本歌の「継ぎて見まく」の語は、本巻の第二千五百五十九首にも「継ぎて見まくし欲しも」と見え、続けて逢いたいと願う歌が近くに置かれている。また初句の「相見ては」は本巻の第二千五百六十七首の初句と同じであり、逢ったあとの心を述べる歌として呼応しているのである。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「相見ては」は、顔を合わせると、の意である。「相見る」は男女が逢うことをいい、係助詞「は」で逢ったときの様子を取り立てている。
二句「面隠さゆる」は、思わず顔を隠してしまう、の意である。「ゆる」は自発の助動詞「ゆ」の連体形で、恥ずかしさから自然にそうなってしまうことを表している。
三句「ものからに」は、〜のに、の意の接続助詞で、逆接を表し、恥じらいと下の句の思いとを結びつけている。
四句「継ぎて見まくの」は、続けて見ること、の意である。「見まく」は助動詞「む」のク語法で、見ようとすること、の意を表している。
結句「欲しき君かも」は、見ていたいあなたであることよ、の意である。体言「君」に詠嘆の終助詞「かも」を添えて、慕わしさを込めて歌い収めている。
あひみる:男女が対面する、逢う
おも:顔、顔つき
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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夢のみに見てすらここだ恋ふる我は うつつに見てばましていかにあらむ
- 次の歌
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朝戸を早くな開けそあぢさはふ 目が欲る君が今夜来ませる