人言の繁き間守りて逢ふともや
なほ我が上に言の繁けむ
- 歌の意味
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人の噂がうるさい間を避け、その隙をうかがって逢ったとしても、やはり私の身の上に噂がしきりに立つのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2561
詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
人の噂がうるさいので、その隙をうかがって逢ったとしても、やはり自分の身には噂が立つのだろうかと案じる歌である。人目を避けて慎重に逢おうとしても逃れられない噂への恐れが、恋の喜びを曇らせている。
初句の「人言の繁き」と結句の「言の繁けむ」とが呼応し、噂の多さが一首の初めと終わりに置かれている。次歌の第二千五百六十二首も里人の噂を詠み、続く第二千五百六十三首も人目を気にする恋人を詠んでおり、世間の目と噂をめぐる恋の歌が続けて並べられているのである。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「人言の」は、人の噂の、の意である。「人言」は世間の人々のうわさをいう。
二句「繁き間守りて」は、噂のうるさい間をうかがって、の意である。「守る」は様子を見張る、隙をうかがう意である。
三句「逢ふともや」は、逢ったとしても、の意である。接続助詞「とも」が逆接の仮定を表し、係助詞「や」が疑問を表している。
四句「なほ我が上に」は、やはり私の身の上に、の意で、噂の矛先が自分に向かうことを示している。
結句「言の繁けむ」は、噂がしきりに立つのだろうか、の意である。三句の係助詞「や」を受けて、推量の助動詞「む」の連体形で結ぶ係り結びであり、初句の「人言の繁き」と呼応している。
ひとごと:世間の人のうわさ
まもる:じっと見張る、様子をうかがう
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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人もなき古りにし里にある人を めぐくや君が恋に死なする
- 次の歌
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里人の言寄せ妻を荒垣の 外にや我が見む憎くあらなくに