里人の言寄せ妻を荒垣の
外にや我が見む憎くあらなくに
- 歌の意味
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里の人々が私と噂で結びつけている女を、荒垣の外のように、私はよそ事として見ているのだろうか。憎く思っているわけでもないのに。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2562
詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
里の人々が自分と結びつけて噂している女を、憎くもないのに、よそながら見ているしかないのかと嘆く歌である。噂ばかりが先に立ち、実際には近づくことのできない女への思いと、もどかしさが表れている。
前歌の第二千五百六十一首が噂を恐れて逢うことをためらう歌であるのに対し、本歌は噂が立っているのにかえって逢えない男の嘆きを詠んでいる。世間の噂をめぐる恋の歌として、異なる立場から対をなすように並べられているのである。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「里人の」は、村里の人々の、の意で、噂を立てる世間の人々を指している。
二句「言寄せ妻を」は、噂によって自分と結びつけられている女を、の意である。「言寄す」は噂で男女の仲を言い立てることをいう。
三句「荒垣の」は、目の粗い垣根の、の意で、垣の外を思わせて次の「外」を導いている。
四句「外にや我が見む」は、よそ事として私は見るのだろうか、の意である。係助詞「や」を受けて推量の助動詞「む」の連体形で結ぶ係り結びで、ここで切れる四句切れである。
結句「憎くあらなくに」は、憎いわけではないのに、の意である。「なくに」は打消の助動詞「ず」のク語法に「に」が付いた形で、倒置によって本心を最後に言い添えている。
ことよす:噂で男女の仲を言い立てる
あらかき:目の粗い垣根
よそ:自分とかかわりのない所、無関係
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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人言の繁き間守りて逢ふともや なほ我が上に言の繁けむ
- 次の歌
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人目守る君がまにまに我れさへに 早く起きつつ裳の裾濡れぬ