おほろかに我れし思はばかくばかり
難き御門を罷り出めやも
- 歌の意味
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いい加減に私が思っているのならば、これほど出るのが難しい御門を退出して来たりするだろうか。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2568
詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
通りいっぺんの思いであれば、これほど出にくい宮中の門を退出してまで来はしないと、恋人に自分の思いの深さを訴えた歌である。宮仕えの身で厳しい門を抜け出してきたという行動そのものを、愛情の証として示している。
心の思いを直接述べる「正に心緒を述ぶ」の一首であり、反語によって思いの強さを言い切る形をとっている。宮廷に仕える官人の恋を思わせる歌で、万葉集巻第十一の恋の歌のなかでも作者の立場がうかがえる点に特色がある。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「おほろかに」は、いい加減に、通りいっぺんに、の意である。歌の初めに置かれ、続く仮定の内容を示している。
二句「我れし思はば」は、私が思っているのならば、の意である。「し」は強めの助詞で、「思はば」は未然形に「ば」が付いた仮定条件である。
三句「かくばかり」は、これほどまでに、の意で、四句の「難き」にかかり、門を出ることの難しさを強調している。
四句「難き御門を」は、出入りが難しい御門を、の意である。宮中の門の警固の厳しさをいい、そこを退出してきた苦労を示している。
結句「罷り出めやも」は、退出して来たりするだろうか、いやしない、の意である。「めやも」は推量の助動詞「む」の已然形に反語の「や」と詠嘆の「も」が付いた形で、強い反語となっている。
みかど:御門。宮城の門、また朝廷
まかりづ:宮中や貴人のもとから退出する
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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相見ては恋慰むと人は言へど 見て後にぞも恋まさりける
- 次の歌
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思ふらむその人なれやぬばたまの 夜ごとに君が夢にし見ゆる