今だにも目な乏しめそ相見ずて
恋ひむ年月久しけまくに
- 歌の意味
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せめて今だけでも、逢う機会を少なくしないでほしい。逢わずに恋い続ける年月は長いだろうから。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2577
詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
やがて逢えずに恋い続ける長い年月が来るのだから、せめて今のうちだけでも十分に逢わせてほしいと願った女性の歌である。遠からぬ別れを予感し、残された時間を惜しむ切実な心を述べている。
心の思いを直接述べる「正に心緒を述ぶ」の一首である。今という短い時と、逢えずに過ごす長い年月とを対比させ、限られた逢瀬のかけがえのなさを浮かび上がらせている。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「今だにも」は、せめて今だけでも、の意である。副助詞「だに」は最小限の願いを表している。
二句「目な乏しめそ」は、逢う機会を少なくしないでほしい、の意である。「な…そ」で禁止を表し、ここで句切れとなる二句切れである。
三句「相見ずて」は、逢わないで、の意である。この先に来る逢えない日々を示している。
四句「恋ひむ年月」は、恋い続けるであろう年月、の意である。推量の助動詞「む」で、これからの日々を思いやっている。
結句「久しけまくに」は、長いだろうから、の意である。形容詞「久し」に推量の「む」が付いた形のク語法に「に」が添えられ、理由を表している。
め:見ること、逢うこと
ともしむ:少なくさせる、乏しくする
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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人間守り葦垣越しに我妹子を 相見しからに言ぞさだ多き
- 次の歌
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朝寝髪我れは梳らじうるはしき 君が手枕触れてしものを