早行きていつしか君を相見むと
思ひし心今ぞなぎぬる
- 歌の意味
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早く行って、一刻も早くあなたに逢いたいと思っていた心が、今こそ静まった。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2579
詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
早く行って一日も早くあなたに逢いたいと、はやり立っていた心が、こうして逢えた今、ようやく静まったと詠んだ歌である。待ち焦がれていた逢瀬が叶った安堵と満ち足りた思いを、波風がおさまる意の「なぐ」に託している。
心の思いを直接述べる「正に心緒を述ぶ」の一首である。少し前の本巻の第二千五百六十七首は、逢った後にかえって恋しさがまさると詠んでおり、逢って心が静まったという本歌とは反対の心境を示している。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「早行きて」は、早く行って、の意である。逢いに行こうとはやる心を示している。
二句「いつしか君を」は、一刻も早くあなたに、の意である。「いつしか」は早くそうなってほしいと待ち望む気持ちを表している。
三句「相見むと」は、逢おうと、の意である。意志の助動詞「む」で、逢いたいという願いを示している。
四句「思ひし心」は、思っていた心、の意である。過去の助動詞「き」の連体形「し」で、逢う前の心をふり返っている。
結句「今ぞなぎぬる」は、今こそ静まった、の意である。係助詞「ぞ」を受けて完了の助動詞「ぬ」の連体形「ぬる」で結ぶ係り結びとなっている。
なぐ:波風がおさまるように、心が穏やかになる
- 出典
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万葉集
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朝寝髪我れは梳らじうるはしき 君が手枕触れてしものを
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面形の忘るとあらばあづきなく 男じものや恋ひつつ居らむ