- 歌の意味
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黒髪が白髪になるまでと固く結んだこのひとつの心を、今になって解いたりするだろうか、決してしない。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2602
詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
黒髪が白髪になるまで共にと誓って結んだ心を、今さら解くことなどあろうかと、相手への変わらぬ思いを言い切った女の歌である。心変わりを疑われたのに答えて、生涯を誓った心の固さを訴えたものと考えられる。
「結ぶ」と「解く」を対にし、心を紐のように結んだり解いたりするものとして表している。前歌の思いがけない再会の喜びから一転して、本歌は長い年月を見通した誓いを詠み、また本巻の第二千五百九十八首と同じく、女が反語によって心変わりを強く否定する歌である。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「黒髪の」は、黒髪が、の意である。若い盛りの髪を示し、次の「白髪」と対比させている。
二句「白髪までと」は、白髪になるまでと、の意である。年老いるまで添い遂げようという誓いの言葉を引いている。
三句「結びてし」は、結んだ、の意である。「てし」は完了の助動詞「つ」の連用形に過去の助動詞「き」の連体形が付いた形で、かつて固く約束したことを表している。
四句「心ひとつを」は、ただひとつの心を、の意である。他に移ることのない一途な心を示している。
結句「今解かめやも」は、今になって解くだろうか、決して解かない、の意である。「めやも」は反語で、三句の「結ぶ」と「解く」が縁語の関係で対応している。
むすぶ:紐などを結ぶ。転じて、約束を固める
とく:結んだものをほどく。転じて、約束や誓いをやめる
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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うつつにも夢にも我れは思はずき 古りたる君にここに逢はむとは
- 次の歌
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心をし君に奉ると思へれば よしこのころは恋ひつつをあらむ