- 歌の意味
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紅で濃く染めた衣の色が深いように、深く心に染みついてしまったからか、忘れることができない。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2624
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
紅で濃く染めた衣の色が深いように、相手への思いが深く心に染みついてしまったからか、どうしても忘れられないと詠んだ恋の歌である。忘れられない理由を自らに問いかけ、深く染みた紅の色に、心に刻まれた恋の深さを重ねている。
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」であり、本歌は紅の深染めの衣に寄せて思いを述べている。前歌の第二千六百二十三首と初句「紅の」を共有して紅の衣に寄せる歌が二首並び、前歌が馴れてもいよいよ愛しいと詠むのに対し、本歌は深く染みて忘れられないと詠んでいる。また結句「忘れかねつる」は、本巻の第二千六百二十二首の結句「忘れかねつも」と同じ言い回しである。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「紅の」は、紅花で染めた鮮やかな赤色の、の意である。前歌の第二千六百二十三首と同じ初句である。
二句「深染めの衣」は、色濃く染めた衣の意である。初句から二句までが序詞となり、三句の「色深く」を導いている。
三句「色深く」は、色が深くの意で、衣の色の濃さと、心に深く思いが染みることとを重ねている。
四句「染みにしかばか」は、染みついてしまったからか、の意である。「に」は完了の助動詞「ぬ」の連用形、「しか」は過去の助動詞「き」の已然形で、「ば」は理由を表す接続助詞、「か」は疑問の係助詞である。
結句「忘れかねつる」は、忘れることができないのだろう、の意である。四句の係助詞「か」を受けて、完了の助動詞「つ」の連体形「つる」で結ぶ係り結びとなっている。本巻の第二千六百二十二首の結句「忘れかねつも」と同じ言い回しである。
くれなゐ:紅花で染めた鮮やかな赤色
こぞめ:色を濃く染めること。また、その染め色
しむ:色が染みつく。ここでは思いが心に深く染みつく意を重ねる
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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紅の八しほの衣朝な朝な 馴れはすれどもいやめづらしも
- 次の歌
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逢はなくに夕占を問ふと幣に置くに 我が衣手はまたぞ継ぐべき