- 歌の意味
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古い着物を捨ててしまう人は、秋風が吹き立ってくる時に、物思いをするものだ。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2626
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
古い着物を捨ててしまう人は、秋風が吹き始める頃になって思い悩むものだと詠んだ歌である。古い衣に古くからの恋人や妻をたとえ、新しい相手に心を移して昔なじみを捨てる人は、やがて寂しさの中で後悔するだろうと戒めている。
物に寄せる歌の中でも、衣そのものを人にたとえた比喩の性格の強い一首である。寒くなって初めて捨てた古衣が惜しまれるという身近な経験を、捨てられる側の思いに重ねており、前歌に続いて衣に寄せた恋の歌となっている。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「古衣」古い衣の意である。長年着なれた衣で、古くから連れ添ってきた恋人や妻をたとえている。
二句「打棄つる人は」捨ててしまう人は、の意である。「打棄つ」は「うち棄つ」のつまった形で、すっかり捨て去ることをいう。係助詞「は」で、捨てる人を取り立てて戒めの対象としている。
三句「秋風の」秋風が、の意である。肌寒さを覚える季節の風であり、心変わりの「飽き」を響かせると見る説もある。
四句「立ちくる時に」吹き立ってくる時に、の意である。「立つ」は風が起こることをいい、寒さが身にしみる頃を示している。
結句「物思ふものぞ」物思いをするものだ、の意である。「物思ふ」は思い悩むことで、終助詞「ぞ」が強く言い切り、世の常の道理として戒める調子を添えている。
ふるころも:着古した衣
うちうつ:すっかり捨て去る。「うち」は接頭語
ものおもふ:あれこれと思い悩む
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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逢はなくに夕占を問ふと幣に置くに 我が衣手はまたぞ継ぐべき
- 次の歌
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はねかづら今する妹がうら若み 笑みみ怒りみ付けし紐解く