はねかづら今する妹がうら若み
笑みみ怒りみ付けし紐解く
- 歌の意味
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はねかずらを今つけるばかりの年頃の妹が、まだうら若いので、笑ったり怒ったりしながら、結んでいた紐を解く。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2627
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
はねかずらを着けたばかりの年頃の少女が、まだ初々しいので、笑ったり怒ったりしながら、結んでいた衣の紐を解くさまを詠んだ歌である。恋人と初めて打ち解ける少女の恥じらいとためらいを、「笑みみ怒りみ」という対句的な言い方で生き生きと描き出している。
衣の紐という身近な物に寄せて、男の目から見た若い恋人の可憐さを詠んだ一首である。「はねかづら今する妹」の句は、巻第四の第七百五首にも見え、成人を迎えたばかりの少女を表す言い方であったと考えられる。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「はねかづら」はねかずらの意である。少女が成人を迎える頃に着けた髪飾りと考えられるが、どのような物かは詳しくわかっていない。
二句「今する妹が」今それを着けている妹が、の意である。はねかずらを着けたばかりの、大人になりかけた少女をいう。
三句「うら若み」うら若いので、の意である。「うら若み」は形容詞「うら若し」の語幹に接尾語「み」が付いたミ語法で、理由を表している。
四句「笑みみ怒りみ」笑ったり怒ったりしながら、の意である。動詞の連用形に接尾語「み」を重ねて、二つの動作がかわるがわる行われることを表す。恥じらいと甘えの入りまじった少女のしぐさを伝える句である。
結句「付けし紐解く」結んでいた紐を解く、の意である。「し」は過去の助動詞「き」の連体形で、結んでおいた衣の紐を解き、男に打ち解けることをいう。
はねかづら:少女が成人の頃に着けたとされる髪飾り
いも:男性が恋人や妻を親しんで呼ぶ語
- 出典
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万葉集
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古衣打棄つる人は秋風の 立ちくる時に物思ふものぞ
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いにしへの倭文機帯を結び垂れ 誰れといふ人も君にはまさじ