ぬばたまの黒髪敷きて長き夜を
手枕の上に妹待つらむか
- 歌の意味
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黒髪を敷いて、この長い夜を、自分の手枕の上で、妹は待っているのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2631
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
黒髪を床に敷きのべ、長い夜を自分の腕を枕にして、恋人は自分を待っているのだろうかと、離れた所にいる男が相手の姿を思いやった歌である。黒髪や手枕といった具体的な姿を描くことで、逢えない夜の切なさと相手へのいとおしさを細やかに伝えている。
前二首に続き、枕に寄せた一首である。前二首が待つ女の側から枕を詠むのに対し、本歌は男が待つ女の手枕を思いやっており、待つ側と待たれる側とが入れ替わった構図となっている。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「ぬばたまの」「黒髪」にかかる枕詞である。「ぬばたま」はヒオウギの実で、黒いことから「黒」「夜」などにかかる。
二句「黒髪敷きて」黒髪を敷いて、の意である。独り寝の床に長い黒髪を広げて横たわる女の姿を描いている。
三句「長き夜を」長い夜を、の意である。待つ身にとって長く感じられる夜をいう。
四句「手枕の上に」手枕の上に、の意である。ここでは自分の腕を枕にすることをいう。八音の字余りの句である。
結句「妹待つらむか」妹は待っているのだろうか、の意である。現在推量の助動詞「らむ」に疑問の助詞「か」が付き、離れた所にいる恋人の今の様子を思いやっている。
ぬばたま:ヒオウギの実。黒いことから「ぬばたまの」は「黒」「夜」などにかかる枕詞
たまくら:腕を枕にすること
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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結へる紐解かむ日遠み敷栲の 我が木枕は苔生しにけり
- 次の歌
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まそ鏡直にし妹を相見ずは 我が恋やまじ年は経ぬとも