まそ鏡直にし妹を相見ずは
我が恋やまじ年は経ぬとも
- 歌の意味
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直接に妹と逢わないかぎり、私の恋はやまないだろう。たとえ年が過ぎてしまっても。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2632
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
じかに恋人と顔を合わせないかぎり、たとえ年月が過ぎても自分の恋はやむことがないと、変わらぬ思いを言い切った歌である。人づての便りや夢ではなく、直接逢うことだけが恋の苦しみを鎮めるのだという、ひたむきな心が表れている。
鏡に寄せた一首で、ここから次歌、その次の歌と、「まそ鏡」で始まる、または「まそ鏡」を含む歌が三首続く。鏡を見るように面と向かって逢いたいという思いが、この一連に共通している。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「まそ鏡」よく澄んだ鏡の意で、ここでは鏡にまともに向き合って見ることから、「直に」「相見」に続けた枕詞と解される。
二句「直にし妹を」直接に妹を、の意である。「直に」は人を介さずじかに、の意で、強意の助詞「し」によって強めている。
三句「相見ずは」逢わないならば、の意である。「相見る」は顔を合わせる、逢うことで、「ずは」は打消の仮定条件を表す。
四句「我が恋やまじ」私の恋はやまないだろう、の意である。打消推量の助動詞「じ」で言い切り、ここで句切れとなる。
結句「年は経ぬとも」たとえ年が経ってしまっても、の意である。接続助詞「とも」による逆接の仮定条件で、四句と倒置の関係にあり、恋の続く長さを最後に強調している。
まそかがみ:よく澄んだ立派な鏡。「見る」などにかかる枕詞となる
あひみる:顔を合わせる、逢う
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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ぬばたまの黒髪敷きて長き夜を 手枕の上に妹待つらむか
- 次の歌
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まそ鏡手に取り持ちて朝な朝な 見む時さへや恋の繁けむ