そき板もち葺ける板目のあはざらば
いかにせむとか我が寝そめけむ
- 歌の意味
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薄い削ぎ板で葺いた屋根の板目が合わないように、もし逢わなくなったなら、どうしようと思って私は共寝を始めたのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2650
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
もしこの先逢えなくなったら、どうするつもりで共寝を始めたのだろうかと、契りを結んだ後の不安を詠んだ歌である。板葺きの屋根の板目が合わないことに寄せて、仲が続かなくなることへの恐れを表している。
上二句は、削ぎ板で葺いた屋根の板の継ぎ目がぴったり合わないことから、「合はざらば」に「逢はざらば」の意を響かせて導く序詞である。前歌までの農村や手仕事の物に続き、家屋の造りに寄せた一首で、女性の歌とされる。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「そき板もち」は、薄く削いだ板を用いての意である。原文では「十寸板」と書かれている。
二句「葺ける板目の」は、屋根に葺いた板の継ぎ目の、の意である。ここまでの二句が序詞となり、次の「あはざらば」を導いている。
三句「あはざらば」は、板目が合わないことに、逢わないならばの意を掛けている。打消の助動詞「ず」の未然形「ざら」に「ば」が付いた仮定条件である。
四句「いかにせむとか」は、どうしようと思ってかの意である。係助詞「か」が疑問を表し、結句の「けむ」と係り結びをなしている。
結句「我が寝そめけむ」は、私は共寝を始めたのだろうかの意である。過去推量の助動詞「けむ」が連体形で四句の「か」を受け、過ぎた日の自分を省みる思いを表している。
そきいた:薄く削いだ板、屋根を葺くのに用いる
いため:板と板との継ぎ目
ねそむ:共寝を始める、契りを結び始める
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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あしひきの山田守る翁が置く鹿火の 下焦れのみ我が恋ひ居らむ
- 次の歌
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難波人葦火焚く屋の煤してあれど おのが妻こそ常めづらしき