神なびにひもろき立てて斎へども
人の心はまもりあへぬもの
- 歌の意味
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神の宿る森にひもろきを立てて身を慎み祀っても、人の心は守りきれないものだ。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2657
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
神の宿る森にひもろきを立てて身を清め、神を祀って守ろうとしても、人の心だけは守りきれないものだと嘆いた歌である。神祭りの営みに寄せて、どれほど慎み祈っても思うままにならない恋人の心を恨んでいる。
前歌の軽の社の斎ひ槻に続き、神を祀ることに寄せた一首である。前歌が神木のように近づきがたい隠り妻を詠むのに対し、本歌は神に祈っても人の心は守りきれないと嘆き、ともに神祭りを通して恋の思うにまかせぬさまを表している。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「神なびに」は、神の降りて宿る森や山にの意である。「神なび」は神が鎮まる神聖な場所をいう。
二句「ひもろき立てて」は、神を迎えて祀るひもろきを立ててという意である。「ひもろき」は神の宿る所として常緑の木を立て、周りを囲った祭場をいう。
三句「斎へども」は、身を清め慎んで祀っても、の意である。逆接の接続助詞「ども」で下の句へと転じている。
四句「人の心は」は、人の心はの意である。係助詞「は」が、神祭りによっても守れない人の心を取り立てている。
結句「まもりあへぬもの」は、守りきれないものだの意である。「まもる」は目を離さずに見守る意、「あへぬ」は…しきれないの意で、体言「もの」で言い切っている。
かむなび:神が降りて鎮まる森や山
ひもろき:神を迎えて祀るため、常緑の木を立てて周りを囲った祭場
いはふ:身を清め慎んで神を祀る
まもる:目を離さずに見守る
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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天飛ぶや軽の社の斎ひ槻 幾代まであらむ隠り妻ぞも
- 次の歌
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天雲の八重雲隠り鳴る神の 音のみにやも聞きわたりなむ