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夜並べて君を来ませとちはやぶる
神の社を祷まぬ日はなし

歌の意味
幾夜も続けてあなたが来てくださるようにと、神の社に祈らない日はない。
鑑賞
巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2660

詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
 幾夜も続けてあなたが通って来てくださるようにと、毎日神の社に祈っていると詠んだ歌である。神への祈りに寄せて、恋人の訪れを待つ女性のひたむきな思いを表している。
 本歌と本巻の第二千六百六十二首とは、下の句「神の社を祷まぬ日はなし」と三句の「ちはやぶる」を共有している。本歌が恋人の訪れを祈る女性の歌であるのに対し、第二千六百六十二首は恋人に再び逢うことを祈る男性の歌であり、同じ祈りの言葉を女と男の立場から詠んだ対となっている。
 作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。

 初句「夜並べて」は、幾夜も続けての意である。毎夜の訪れを願う気持ちを表している。
 二句「君を来ませと」は、あなたが来てくださるようにとの意である。「来ませ」は「来」に尊敬の「ます」が付いた命令形で、祈りの内容を示している。
 三句「ちはやぶる」は「神」にかかる枕詞である。本巻の第二千六百六十二首でも同じく三句に置かれている。
 四句「神の社を」は、神の社にの意である。祈りを捧げる場を示している。
 結句「祷まぬ日はなし」は、祈らない日はないの意である。「祷む」は神に祈り願うことで、二重の打消によって毎日欠かさず祈ることを強めている。

のむ:神に祈り願う
やしろ:神を祀る社
出典
万葉集
前の歌
争へば神も憎ますよしゑやし よそふる君が憎くあらなくに
次の歌
霊ぢはふ神も我れをば打棄てこそ しゑや命の惜しけくもなし