月しあれば明くらむ別も知らずして
寝て我が来しを人見けむかも
- 歌の意味
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月が出ていたので、夜が明けたかどうかの区別もつかないで、共寝をして私が帰って来たのを、人が見たのではないだろうか。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2665
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
月が明るく照っていたために夜明けとの区別がつかず、恋人のもとで寝過ごして帰って来た姿を、人に見られたのではないかと案じる歌である。人目を忍ぶ恋の不安が、月の明るさを通して率直に語られている。
月に寄せる歌の一首で、前歌が月のない暁の闇を詠むのに対し、本歌は明け方まで残る月の明るさを詠んでおり、月の明暗が対照をなしている。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「月しあれば」は、月が出ていたので、の意である。副助詞「し」が「月」を強め、已然形に「ば」が付いて理由を表している。
二句「明くらむ別も」は、夜が明けたであろうかどうかの区別も、の意である。「らむ」は現在推量の助動詞で、明け方かどうか定かでない心持ちを表している。
三句「知らずして」は、わからないままで、の意である。月の明るさにまぎれて、帰るべき時を見失ったことをいう。
四句「寝て我が来しを」は、共寝をして私が帰って来たのを、の意である。「来し」の「し」は過去の助動詞「き」の連体形である。
結句「人見けむかも」は、人が見ただろうか、の意である。過去推量の助動詞「けむ」に疑問と詠嘆の「かも」が付き、人目に触れたのではないかという不安を表している。
わき:区別、けじめ
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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夕月夜暁闇の朝影に 我が身はなりぬ汝を思ひかねに
- 次の歌
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妹が目の見まく欲しけく夕闇の 木の葉隠れる月待つごとし