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君が着る御笠の山に居る雲の
立てば継がるる恋もするかも

歌の意味
あなたがかぶる御笠という名の御笠の山にかかる雲が、立ち去ってもまた次々にかかるように、絶え間なく続く恋をすることだ。
鑑賞
巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2675

詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
 御笠の山にかかる雲が、立ち去ってもまた次々に湧いてかかるように、途切れることなく続く恋をしていると詠んだ歌である。絶え間なく湧く雲の姿に、やむことのない恋心をたとえている。
 雲に寄せる歌の一首で、結句「恋もするかも」は本巻の第二千六百七十二首と共通し、序詞で景を描いて恋の在り方を示す同じ型をとっている。前歌が雲の薄れゆく様に恋を託したのに対し、本歌は雲の絶え間なく続く様に恋を託しており、雲の消える姿と続く姿とが対をなしている。
 作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。

 初句「君が着る」は、あなたがかぶる笠の意から、「御笠」にかかる枕詞である。恋の相手を思わせる言葉で歌い起こしている。
 二句「御笠の山に」は、奈良の春日にある三笠山にの意である。「御笠」には初句の笠の意が響いている。
 三句「居る雲の」は、かかっている雲が、の意である。初句からここまでが序詞となり、雲の様子から四句の「立てば継がるる」を導いている。
 四句「立てば継がるる」は、立ち去ってもまた次々に続く、の意である。雲が湧き立っては絶えず続くさまを、恋の絶え間のなさに重ねている。
 結句「恋もするかも」は、恋をすることだ、の意である。終助詞「かも」が詠嘆を表し、絶え間ない恋に身を置く感慨を込めている。

みかさのやま:奈良の春日にある三笠山
ゐる:雲などが一所にじっととどまる
つがる:次々に続く
出典
万葉集
前の歌
朽網山夕居る雲の薄れゆかば 我れは恋ひむな君が目を欲り
次の歌
ひさかたの天飛ぶ雲にありてしか 君をば相見むおつる日なしに