ひさかたの天飛ぶ雲にありてしか
君をば相見むおつる日なしに
- 歌の意味
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大空を飛ぶ雲であったらいいのに。そうすれば、あなたに逢おう、一日も欠かすことなく。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2676
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
大空を自由に飛ぶ雲であったなら、一日も欠かさずあなたに逢いに行けるのにと願う歌である。思うままに行き来できない身の不自由さを、空を飛ぶ雲へのあこがれによって表している。
雲に寄せる歌の一首で、前の二首が山にかかる雲を眺めて恋を詠んだのに対し、本歌は自らが雲になりたいと願っており、雲を見る側から雲になる側へと視点を転じている。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「ひさかたの」は、「天」にかかる枕詞である。広々とした大空を思わせている。
二句「天飛ぶ雲に」は、大空を飛ぶ雲に、の意である。どこへでも行ける雲の自由さを示している。
三句「ありてしか」は、あったらいいのに、の意である。願望を表す終助詞「てしか」で、ここで句切れとなる三句切れである。
四句「君をば相見む」は、あなたに逢おう、の意である。「をば」は格助詞「を」に係助詞「は」が付いて強めた形で、意志の助動詞「む」で願いがかなった場合の思いを述べている。
結句「おつる日なしに」は、欠ける日もなく、毎日、の意である。「おつ」は抜け落ちる意で、一日も欠かさず逢いたいという思いを表している。
ひさかた:「ひさかたの」の形で「天」「空」「月」などにかかる枕詞
あひみる:互いに逢う、契りを結ぶ
おつ:抜け落ちる、欠ける
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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君が着る御笠の山に居る雲の 立てば継がるる恋もするかも
- 次の歌
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佐保の内ゆあらしの風の吹きぬれば 帰りは知らに嘆く夜ぞ多き