窓越しに月おし照りてあしひきの
あらし吹く夜は君をしぞ思ふ
- 歌の意味
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窓越しに月が一面に照り、山から嵐が吹く夜は、ひたすらあなたのことを思う。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2679
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
窓越しに月の光が一面に差し込み、山から嵐が吹きおろす夜には、ひときわあなたのことが思われると詠んだ歌である。冴えた月光と激しい風という寂しい夜の景が、恋人を思う心をいっそう強めている。
風に寄せる歌の一首で、「あらし」の語を本巻の第二千六百七十七首と共有し、嵐の夜に恋人を思う趣向も通じている。また月を詠み込む点で、先に並んだ月に寄せる歌とも響き合っている。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「窓越しに」は、窓を通して、の意である。室内にいて外の月を眺めている作者の位置を示している。
二句「月おし照りて」は、月が一面に照り渡って、の意である。「おし照る」は光があまねく照ることをいう。
三句「あしひきの」は、本来「山」にかかる枕詞で、ここでは山から吹きおろす「あらし」にかかっている。
四句「あらし吹く夜は」は、嵐が吹く夜は、の意である。係助詞「は」がそうした夜を取り立てて示している。
結句「君をしぞ思ふ」は、ひたすらあなたのことを思う、の意である。副助詞「し」と係助詞「ぞ」で「君」を強め、動詞「思ふ」の連体形で結ぶ係り結びとなっている。
おしてる:一面に照り渡る
あしひき:「あしひきの」の形で「山」「峰」などにかかる枕詞
あらし:山から激しく吹きおろす風
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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はしきやし吹かぬ風ゆゑ玉櫛笥 開けてさ寝にし我れぞ悔しき
- 次の歌
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川千鳥棲む沢の上に立つ霧の いちしろけむな相言ひそめてば