夕占問ふ我が袖に置く白露を
君に見せむと取れば消につつ
- 歌の意味
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夕占をして立っている私の袖に置く白露を、あなたに見せようと手に取ると、そのたびに消えてしまう。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2686
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
夕方に辻に立って恋の行方を占う女が、袖に置いた白露をあなたに見せようと手に取るたびに消えてしまうと詠んだ歌である。長く立ち尽くして露に濡れたことを伝えたいのに、その証が手に残らないもどかしさに、待つ身の切なさが込められている。
本歌から露に寄せる歌がしばらく続く。雨に寄せる一連の後に、同じく天から降り置くものとして露の歌が置かれ、待つ女の袖に置く露という趣向は以下の歌にも引き継がれている。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「夕占問ふ」は、夕占をするの意である。夕占は夕方に辻などに立ち、道行く人の言葉を聞いて吉凶を占う習俗で、恋人が来るかどうかを占ったものである。
二句「我が袖に置く」は、私の袖に置くの意で、次の「白露」を修飾する。夕占のために長く外に立っていたことがうかがえる。
三句「白露を」は、白く光る露のことである。格助詞「を」で次の「見せむと」「取れば」の対象となる。
四句「君に見せむと」は、あなたに見せようとしての意である。「む」は意志の助動詞で、待っていた証を恋人に示したい思いを表している。
結句「取れば消につつ」は、手に取るとそのたびに消えていくの意である。「消」は消える意の動詞「く」の連用形で、反復継続の助詞「つつ」で言いさして、余情を残している。
ゆふけ:夕方に辻に立ち、通行人の言葉を聞いて吉凶を占うこと
く:消える
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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妹が門行き過ぎかねつひさかたの 雨も降らぬかそをよしにせむ
- 次の歌
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桜麻の麻生の下草露しあれば 明かしてい行け母は知るとも