明日香川水行きまさりいや日異に
恋のまさらばありかつましじ
- 歌の意味
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明日香川の水かさが増していくように、日ごとにますます恋がまさっていったなら、とても生きてはいられないだろう。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2702
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
明日香川の水かさが増していくように、日ごとに恋しさが増していったら、とても生きてはいられないだろうと嘆く歌である。増水する川の勢いに、抑えようもなく募っていく恋の思いを重ねている。
川に寄せる歌で、上二句は「まさり」の語を重ねて四句の「まさら」を導く序詞である。前歌と同じく「明日香川」で始まり、前歌が明日も渡ろうという変わらぬ心を詠むのに対し、本歌は日に日に増す恋の苦しさを詠んでいる。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「明日香川」は、飛鳥の地を流れる川である。前歌と同じ初句で始まり、二首を結びつけている。
二句「水行きまさり」は、水かさが増していきの意である。初句からここまでが序詞で、「まさり」の語を重ねて四句の「まさら」を導いている。
三句「いや日異に」は、日ごとにますますの意である。「いや」はいよいよ、「日異に」は日に日にの意で、恋の募っていくさまを表している。
四句「恋のまさらば」は、恋がまさったならの意である。「まさら」は「まさる」の未然形、「ば」は仮定条件を表し、序の「水行きまさり」と呼応している。
結句「ありかつましじ」は、とても生きてはいられないだろうの意である。「かつ」は耐えることができる意、「ましじ」は打消推量の助動詞で、恋の重さに耐えられないという嘆きを言い切っている。
まさる:増す、多くなる
かつ:〜することができる、〜に耐える
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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明日香川明日も渡らむ石橋の 遠き心は思ほえぬかも
- 次の歌
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ま薦刈る大野川原の水隠りに 恋ひ来し妹が紐解く我れは