あしひきの山下響み行く水の
時ともなくも恋ひわたるかも
- 歌の意味
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山の麓を鳴り響かせて流れて行く水のように、いつという時もなく、絶えず恋い続けることだ。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2704
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
山の麓を音高く流れ続ける水に寄せて、時を選ばず絶え間なく恋い続ける思いを詠んだ歌である。とどまることのない水の流れが、止むことのない恋心の比喩となっている。
物に寄せる歌として、上の句全体を序詞とし、流れる水の絶え間なさから下の句の恋の思いへと転じている。「行く水の」で序を結ぶ形は、本巻の第二千七百八首、第二千七百十一首、第二千七百十八首にも見られ、水に寄せる歌の一連の型となっている。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「あしひきの」は「山」にかかる枕詞である。
二句「山下響み」は、山の麓を鳴り響かせて、の意である。「響む」は音が鳴り響く意の動詞で、勢いよく流れる水の音を描いている。
三句「行く水の」は、流れて行く水のように、の意である。初句からここまでが序詞で、絶えず流れる水の様子から四句の「時ともなく」を導いている。
四句「時ともなくも」は、いつという時の区別もなく、の意である。「も」は強めの助詞で、昼夜を問わず続く恋心を強調している。
結句「恋ひわたるかも」は、恋い続けることだ、の意である。「わたる」は動作が長く続く意を添え、「かも」は詠嘆の終助詞である。
とよむ:音が鳴り響く
こひわたる:長い間恋い続ける
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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ま薦刈る大野川原の水隠りに 恋ひ来し妹が紐解く我れは
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はしきやし逢はぬ君ゆゑいたづらに この川の瀬に玉裳濡らしつ