白真砂御津の埴生の色に出でて
言はなくのみぞ我が恋ふらくは
- 歌の意味
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白い砂の御津の黄土の色のように、顔色に出して言わないだけなのだ、私が恋しく思っていることは。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2725
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
白砂の美しい御津の浜の黄土の鮮やかな色を持ち出し、そのように顔色に出して口にしないだけで、心の中では恋しているのだと訴えた恋の歌である。表に出さない恋の深さを、かえって鮮やかな色の景物によって印象づけている。
物に寄せて思ひを陳ぶ歌として、難波の御津の浜の土の色に寄せた歌である。前歌までの「ゆくへ知らず」「後は知らねど」という先行きへの不安から、本歌では恋を表に出さないという忍ぶ恋の趣向に移っている。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「白真砂」は、白く細かな砂の意で、白砂の浜が広がる御津を形容して次の句に続けている。
二句「御津の埴生の」は、御津の黄土の、の意である。御津は難波の港をいい、埴生は赤や黄の色の粘土、またそれのある土地をいう。原文は「黄土」と書く。
三句「色に出でて」は、顔色に表して、の意である。初句から二句までが序詞となり、埴生の「色」から同じ語の「色に出づ」を導いている。
四句「言はなくのみぞ」は、口に出して言わないだけだ、の意である。「なく」は打消の助動詞「ず」のク語法で、係助詞「ぞ」によって強く言い切り、結句との間が倒置となっている。
結句「我が恋ふらくは」は、私が恋していることは、の意である。「恋ふらく」は「恋ふ」のク語法で、四句の「ぞ」の強めを受け、倒置によって恋の主体を最後に示して余韻を残している。
まなご:細かい砂
はにふ:赤や黄色の粘土、またそれのある土地
みつ:難波の港、御津
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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秋風の千江の浦廻の木屑なす 心は寄りぬ後は知らねど
- 次の歌
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風吹かぬ浦に波立ちなき名をも 我れは負へるか逢ふとはなしに