大伴の御津の白波間なく
我が恋ふらくを人の知らなく
- 歌の意味
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大伴の御津に寄せる白波のように、絶え間なく私が恋していることを、あの人は知らないことだ。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2737
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
大伴の御津に絶えず寄せる白波のように、絶え間なく恋い続けているのに、その思いを相手は知らずにいる、と嘆いた恋の歌である。思いの深さと、それが相手に伝わらないもどかしさとを表している。女性の立場の歌とも見られている。
物に寄せて思ひを陳ぶ歌として、難波の御津の白波に寄せた歌である。前歌と同じく三句に「間なく」を置き、波を序とする構成をとっている。前歌が相手の心を推しはかる不安を詠んだのに対し、本歌は自分の恋が知られていない嘆きを詠んでおり、同じ「間なく」から異なる二つの不安が述べられている。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「大伴の」は、大伴の、の意である。難波の一帯を大伴の地と呼んだことから、地名の「御津」にかかる。
二句「御津の白波」は、御津に寄せる白波、の意である。御津は難波の港をいう。初句からここまでが序詞となり、絶え間なく寄せる白波から「間なく」を導いている。
三句「間なく」は、絶え間なく、の意である。前歌の三句と同じ句である。
四句「我が恋ふらくを」は、私が恋していることを、の意である。「恋ふらく」は「恋ふ」のク語法である。
結句「人の知らなく」は、あの人が知らないことよ、の意である。「人」は思う相手を指すと解される。「知らなく」は打消の助動詞「ず」のク語法で、詠嘆を込めて言い止めている。
みつ:難波の港、御津
こふらく:恋しく思うこと
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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風をいたみいたぶる波の間なく 我が思ふ君は相思ふらむか
- 次の歌
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大船のたゆたふ海にいかり下ろし いかにせばかも我が恋やまむ