港入りの葦別け小舟障り多み
我が思ふ君に逢はぬころかも
- 歌の意味
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港に入る、葦をかき分けて進む小舟が障りが多いように、差し障りが多いので、私の思うあなたに逢えないこのごろであることよ。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2745
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
差し障りが多くて、思う人に逢えないこのごろを嘆いた恋の歌である。茂った葦の間を分けて進む小舟がしばしば行く手を阻まれる様子に、恋の妨げの多さを重ねている。
港に入る葦別け小舟という物に寄せて思いを述べる寄物陳思の歌で、前歌までの海人の歌に続いて舟が詠まれ、次歌も海人の舟を序に用いている。葦別け小舟は、恋の障りの多さをいう言葉として後の和歌にも受け継がれた。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「港入りの」は、港に入ってくる、の意である。字余りの句で、河口や入江の港に入る舟の様子をいう。
二句「葦別け小舟」は、茂る葦をかき分けて進む小さな舟である。初句からここまでが序詞で、舟の進みが葦に妨げられることから三句の「障り多み」を導いている。
三句「障り多み」は、差し障りが多いので、の意である。形容詞の語幹に「み」が付いて理由を表すミ語法で、舟の障りから恋の障りへと意味が転じている。
四句「我が思ふ君に」は、私が思いを寄せるあなたに、の意である。
結句「逢はぬころかも」は、逢えないこのごろであることよ、の意である。終助詞「かも」が詠嘆を込めて嘆きを結んでいる。
みなと:川や海の水の出入り口。舟の泊まるところ
さはり:差し障り。妨げとなるもの
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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鱸取る海人の燈火外にだに 見ぬ人ゆゑに恋ふるこのころ
- 次の歌
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庭清み沖へ漕ぎ出る海人舟の 楫取る間なき恋もするかも