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大船に葦荷刈り積みしみみにも
妹は心に乗りにけるかも

歌の意味
大きな船に刈った葦の荷をぎっしりと積むように、すき間もなくびっしりと、いとしい人は私の心に乗りかかってしまったことだ。
鑑賞
巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2748

詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
 恋しい人のことが心にびっしりと乗りかかって離れなくなったことを詠んだ恋の歌である。大船に刈った葦を隙間なく積み込む様子に、心を占め尽くす恋人の存在を重ねている。
 大船に積む葦の荷という物に寄せた寄物陳思の歌である。次歌も同じ下二句「妹は心に乗りにけるかも」を持ち、序だけを替えた一対の歌となっている。本歌は荷を積む重さと量で、次歌は真っすぐに乗るさまで、心に乗る恋人を言い表している。
 作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。

 初句「大船に」は、大きな船に、の意で、荷を満載する船を思わせる。
 二句「葦荷刈り積み」は、刈り取った葦の荷を積み込んで、の意である。初句からここまでが序詞で、ぎっしりと積むことから三句の「しみみに」を導いている。
 三句「しみみにも」は、すき間もなくぎっしりと、の意である。序の荷積みの様子から、心に満ちる恋の思いへと意味が移っている。
 四句「妹は心に」は、いとしい人は私の心に、の意である。次歌と同じ句である。
 結句「乗りにけるかも」は、乗りかかってしまったことだ、の意である。「心に乗る」は相手のことが心から離れなくなることをいう言い方で、前の序の「船」と縁のある語である。「にけり」は完了と詠嘆を表し、「かも」で詠嘆を込めて結んでいる。次歌と同じ結句である。

あしに:刈り取った葦の荷
いも:男性が恋人や妻を親しんで呼ぶ語
のる:ここでは心に乗りかかって離れなくなる意
出典
万葉集
前の歌
あぢかまの塩津をさして漕ぐ船の 名は告りてしを逢はざらめやも
次の歌
駅路に引き舟渡し直乗りに 妹は心に乗りにけるかも