朝柏潤八川辺の小竹の芽の
偲ひて寝れば夢に見えけり
- 歌の意味
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朝柏の潤八川のほとりに生える小竹の芽、その「しの」のように、あなたを偲んで寝たところ、夢に見えたことだ。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2754
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
恋しい人を偲びながら寝たところ、その人が夢に現れたと詠んだ恋の歌である。思い続ければ相手が夢に見えるという古代の考え方を背景に、恋しさの深さと、夢で逢えたことへの感慨を表している。
川辺の小竹という物に寄せた寄物陳思の歌で、前歌までの樹木から、ここで竹へと移っている。前の第二千七百五十二首が「しなひ」から「忍びず」を、前歌が「ひさぎ」から「久しく」を導いたのと同じく、本歌も「しの」の音から「偲ひ」を導いており、音の重なりによる序詞の歌が続いている。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「朝柏」は、「潤八川」にかかる枕詞である。朝の柏の葉が露に潤うことから「うる」の音に続くとされるが、かかり方には諸説がある。
二句「潤八川辺の」は、潤八川のほとりの、の意である。潤八川の所在は明らかでない。
三句「小竹の芽の」は、篠竹の芽の、の意である。初句からここまでが序詞で、「しの」と「しのひ」の音の重なりによって四句の「偲ひて」を導いている。
四句「偲ひて寝れば」は、あなたを慕い思って寝たところ、の意である。「寝れば」は已然形に「ば」が付いた形で、偶然の条件を表している。
結句「夢に見えけり」は、夢に見えたことだ、の意である。「けり」は詠嘆の助動詞で、夢に現れたことに気づいた感動を込めて結んでいる。
しの:細く群がって生える竹。篠竹
しのふ:思い慕う
いめ:夢の古い言い方
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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波の間ゆ見ゆる小島の浜久木 久しくなりぬ君に逢はずして
- 次の歌
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浅茅原刈り標さして空言も 寄そりし君が言をし待たむ