- 歌の意味
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紅の色の浅い、その浅葉の野で刈る草の一束、その束の間ほどのわずかな間も、私を忘れなさるな。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2763
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
浅葉の野で刈る草の一握りの束から「束の間」を言い起こし、ほんのわずかな間も私を忘れないでほしいと相手に願う歌である。野の草刈りという身近な労働の情景を借りて、離れている相手への切実な願いを述べている。
草に寄せる一連の歌で、前歌のにこ草に続いて刈り取られる野の草が詠まれる。草を刈って束ねるという具体的な動作から、時間の短さを表す「束の間」へと移る言葉の運びが巧みである。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「紅の」は、紅の色が浅いことから「浅」にかかる枕詞である。鮮やかな色を冒頭に置き、歌に華やぎを与えている。
二句「浅葉の野らに」は、浅葉という野での意である。浅葉の野の所在は未詳とされる。「野ら」の「ら」は場所を表す接尾語である。
三句「刈る草の」は、刈り取る草のの意で、仮名では「かるかや」と訓む。初句からここまでが序詞で、刈った草の一束の「束」から次の「束の間」を導いている。
四句「束の間も」は、ほんのわずかな間もの意である。「束」はもと一握りの幅をいう語で、そこから短い時間を表すようになった。
結句「我を忘らすな」は、私を忘れなさるなの意である。「忘らす」は「忘る」に尊敬の助動詞「す」が付いた形、「な」は禁止の終助詞で、相手への願いを強く言い切っている。
のら:野。「ら」は場所を表す接尾語
つか:一握りの幅。わずかな長さや時間のたとえ
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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葦垣の中の和草にこやかに 我れと笑まして人に知らゆな
- 次の歌
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妹がため命残せり刈り薦の 思ひ乱れて死ぬべきものを