山高み谷辺に延へる玉葛
絶ゆる時なく見むよしもがも
- 歌の意味
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山が高いので谷のあたりに長く延びている玉葛のように、絶えることなくあの人に逢う手立てがあればよいのに。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2775
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
谷に長く延びて途切れない葛のように、絶えることなく恋しい人に逢う手立てがあればよいのにと願う歌である。逢うことの難しさを嘆きながら、いつまでも続く逢瀬を望む気持ちが素直に詠まれている。
葛に寄せる歌で、どこまでも延びていく葛の蔓を、絶えることのない逢瀬への願いに重ねている。葛の蔓が長く続くことから「絶ゆ」を導くのは万葉集の恋の歌によく見られる趣向である。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「山高み」は、山が高いのでの意である。形容詞「高し」の語幹に「み」が付いて原因、理由を表している。
二句「谷辺に延へる」は、谷のあたりに長く延びているの意である。「延へる」は「延ふ」の已然形に存続の助動詞「り」の連体形が付いた形で、蔓が這い広がっている様子をいう。
三句「玉葛」は、葛の美称である。初句からここまでが序詞で、蔓が長く延びて途切れないことから次の「絶ゆる時なく」を導いている。
四句「絶ゆる時なく」は、途切れる時もなくの意である。葛の蔓のように、逢瀬が絶えずに続くことを願う思いを表している。
結句「見むよしもがも」は、逢う手立てがあればよいのにの意である。「見る」は逢うことをいい、「よし」は手段、「もがも」は願望の終助詞で、かなわぬ願いを込めて結んでいる。
たまかづら:葛の美称。蔓草
はふ:蔓などが長く延びる
よし:手段、手立て
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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神奈備の浅小竹原のうるはしみ 我が思ふ君が声のしるけく
- 次の歌
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道の辺の草を冬野に踏み枯らし 我れ立ち待つと妹に告げこそ