道の辺の草を冬野に踏み枯らし
我れ立ち待つと妹に告げこそ
- 歌の意味
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道ばたの草を冬の野のように踏み枯らして、私が立って待っていると、妹に告げてほしい。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2776
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
道ばたの草が冬枯れの野のようになるまで踏み枯らして、私がずっと立って待っていると、いとしい人に伝えてほしいと人に頼む歌である。草を踏み枯らすほどに行きつ戻りつして待つ男の姿に、恋の切なさがよく表れている。
道の辺の草に寄せる歌である。茂った草が踏まれて冬野のように枯れるという具体的な情景で、長く待ち続けた時間の長さと思いの強さとを目に見える形で示している。本巻の第二千七百七十首と同じく「道の辺の」で始まるが、本歌では道ばたで待つ男自身の姿が描かれている。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「道の辺の」は、道のほとりのの意である。待つ男が立っている場所を示している。
二句「草を冬野に」は、草を冬の野のようにの意である。「冬野に」は冬枯れの野のようになるまで、という結果を表している。
三句「踏み枯らし」は、踏んで枯らしての意である。何度も行き来して草を踏み枯らすほど、長く待っていたことを表している。
四句「我れ立ち待つと」は、私が立って待っているとの意である。「と」は告げる内容を示す格助詞で、伝言の中身をここで言い切っている。
結句「妹に告げこそ」は、妹に告げてほしいの意である。「妹」は男性が恋人や妻を親しんで呼ぶ語で、「こそ」は他に対する願望を表す終助詞である。
いも:男性が恋人や妻を親しんで呼ぶ語
ふみからす:踏んで枯らす
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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山高み谷辺に延へる玉葛 絶ゆる時なく見むよしもがも
- 次の歌
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畳薦へだて編む数通はさば 道の芝草生ひずあらましを